ソリューション事業部 / 技術解説

APS入居者応対の自動転記
― なぜ“安く・安全に”回せているのか

Kintone で受け付けた内容を、APS(入居者応対登録)へ自動で転記する仕組みの解説です。

「費用を抑えた工夫」「相手がネイティブアプリであることの難しさ」「AIやPADでも越えられない限界」を、正直にまとめました。

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お金・トークンを抑えるための工夫

「AIが毎回頑張る=そのたびに費用」ではなく、あえて逆に設計しています。

1AIは“設計・監督”、実行は“素のプログラム”

確立した手順はすべてプログラムに落とし込み、日々の実行はそれが担当。ルーチンを回すときAIの利用料(トークン)はかかりません。AIを使うのは作り込み・例外対応・改善のときだけです。

2各システムのAPIを直接・軽量に叩く

Kintone・Lark へは最小限の通信で直結。重くて不安定なブラウザ自動化基盤を使わないので、サーバ費用も“操作のやり直し”コストも発生しません。

3同じ案件を二度処理しない(冪等性)

「APS未入力」の案件だけを対象にし、保存直前にもう一度状態を確認。二重登録=二重コストが起きない作りです。

4“間違えたまま保存しない”

1項目でもズレたら保存を止めます。誤登録を人が後から探して直す——という一番高くつく手戻りを、そもそも発生させません。

5AIに“記憶”を持たせ、毎回の説明コストを削減

仕様やハマりどころを記録しているので、毎回ゼロから説明し直す無駄がありません。

これまで(外注)
初期 30万円 + 月 10万円
  • 加えて 1件あたりの手数料
  • 依頼・受け渡し・待ちの往復
いま(自動化)
担当者の数分/日 + 二重チェック
  • 開発・改善時のAI費用のみ
  • 日々の実行はトークン消費ゼロ
2

相手が “APS=ネイティブアプリ” だからこその難しさ

APSはブラウザで動くWebアプリではなく、Windows上で動く“ネイティブのデスクトップアプリ”。この一点が、できること・できないことを大きく決めます。

  • 🔌
    裏側から一括登録するAPIが無い。 Webアプリなら通信で一括投入できますが、APSは人間と同じように画面を操作するしか手段がありません。画面にCSV一括取込も無いため、「1件ずつ手打ち」を機械が代行する形になります。
  • 🧩
    画面の“中身”が素直に読めない。 応対履歴の表は外部から中身を読み取れず、ウィンドウを最小化すると部品ごと消えて何も読めなくなる——といったクセがあり、読み書きの手段を場面ごとに使い分けています。
  • 💾
    “見た目は入っているのに保存で弾かれる”問題。 文字を入れても内部データが更新されず必須エラーになる罠があり、「実際のキー入力・貼り付けで内部値を更新する」やり方でようやく保存が通りました。
  • 🕗
    稼働時間・ログインの壁。 APSは深夜帯(0〜8時)に停止し、時間が経つとログイン画面に戻ります。安全のため機械に資格情報を持たせていないので、動かせるのは“日中・ログイン中”に限られます。
3

AIやPADでも “どうにもならない” こと

工夫では越えられない部分です。ここを正直に認識しておくのが健全です。

!
画面操作の宿命は消えない。 APS側が一括登録の窓口(API・CSV取込)を出さない限り、「1件ずつ画面を操作する=そのPCとAPSを数分占有する」制約は、AIを賢くしてもPADを足しても消えません。提供側の作り次第で、こちらの技術では解決できない部分です。
!
画面が変われば追従作業が要る。 APSがバージョンアップや画面変更をすると部品の位置がずれて一時的に止まります。“絶対に壊れないUI操作”は原理的に作れません(相手の画面に従うしかないため)。
!
一部はプラットフォーム側の仕様で不可。 例えばLarkの「タスクカード」を自動でトークルームへ投稿することはボットにはできず、タスク作成+共有リスト登録+リンク投稿という代替で回しています。
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根本解決はAPS側がAPIを提供すること。 それが無い前提で「人手を最小化し、壊れても“誤登録”ではなく“安全に止まる”方に倒す」——これが今できる最善、という整理です。

まとめ

  • 費用が膨らまないのは、AIを常時使わず“作り込みと監督”に限定し、実行は軽量なプログラムに任せているから。
  • 難しさの正体は、相手が一括登録の窓口を持たないネイティブアプリであること。
  • だからこそ、越えられない制約は正直に認め、その中で最も安全な設計にしています。
🛡️設計の土台は「誤登録ゼロ・壊れたら“止まるだけ”」。安心して拡大していける状態です。
補足:日々の運用は 抽出 → APSへ自動転記(検算OKのみ保存)→ 結果通知 → 二重チェック依頼 の流れ。1項目でも不一致なら保存せず「要確認」に回すため、事故は構造的に起きにくくなっています。